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NMB研究テーマ

NMBコードの機能拡張、シナリオ整備などの研究テーマをお知らせします。取り組んでみたい個人、グループ、法人の方は、TEAM NMBまでご連絡ください。
項目名タグ内容
出力編集機能の拡張。 powerBI導入
機能拡張
現在は、エクセルの1シートに入出力を集約しシナリオの管理を容易にする考え方を採用している。一方で、NMBからの出力は膨大であるので、出力を一括ダンプし、別途可視化する方式にも利便性があると考えられる。更に、複雑な将来原子力像をステークホルダごとに、どのように整理して伝えるべきかを検討する。
感度解析機能
機能拡張
断面積や入力パラメータなどの不確実性が、特定の出力にどのような影響を及ぼすかを、NMBを多数回実行することで見積もる。NMB本体をラップする形で実装されると考えられる。この機能により、将来シナリオの不確実性が定量化される。
プルサーマル燃焼計算
機能拡張
プルサーマル燃料はプルトニウムの組成に依存してPu割合および、燃焼中の断面積が変わる。現状のNMBでは燃焼末期の無限増倍率を一定にするようにPu割合を決定し、代表的な断面積を用いて燃焼計算を行っているが、この手法の妥当性は不明である。妥当性を確認するためには、多様なPu組成に対して適正なPu割合を設定し、断面積を求め、燃焼後組成を計算して現状モデル比較する必要がある。更に、改善を行うためには、機械学習を用いてPu同位体組成から燃焼計算を経ることなく使用済み燃料の組成を取得する手法が有望である。この改善により、将来のプルサーマル利用率やプルトニウムバランス予測精度が大きく改善されるとともに、計算速度も向上する。
LLW, ILW 評価機能
評価指標追加
現在はHLWのみが定量化されている。低レベル・中レベルの廃棄物量を定量化する機能を追加する。これにより、例えば分離変換技術によって高レベル放射性廃棄物が減少するがILWが増加するといったトレードオフが定量化される。
処分場安全評価 組み込み方法検討
評価指標追加
地下水シナリオによる公衆被ばくの核種線形和による評価が予備的に実装されている。本機能を検証し、包括的技術報告書などの評価に改定する。多様な廃棄物に対して、予備的に被ばく線量を見積もることができるようになり、安全性の余裕の定量化や、分離変換技術による線量低減の定量化など、これまで不明だった研究が可能となる。
核物質魅力度評価機能
評価指標追加
核物質の臨界質量、発熱、放射能など物質固有の魅力度を計算する機能を追加する。多様な組成のアクチノイドの臨界質量評価には機械学習が有効と予想される。将来の核燃料サイクルの核不拡散性を予備的に示すことが可能となり、これまで実施が難しかった幅広いシナリオ間の比較などが行えるようになる。
原子炉施設安全性評価 組み込み方法
評価指標追加
確率論的リスク評価による、公衆被ばくとその頻度をデータベース化し、組み込む手法を検討する。原子炉や再処理施設など多様な工程の安全性を横並びに比較することが可能となり、原子力産業のどこに、いつ、安全性が低い部分が存在するか明らかにすることが可能となる。また、安全性が改良された原子炉施設の効果を定量化したり、将来の原子炉施設が備えるべき安全性の程度を見積もることを可能とする。
経済性データベース整備
データベース整備
経済性評価機能が実装されているが、データベースは十分に整備されていない。NEA、IAEAなどの文献から整備する。なるべく統一的な考えに基づくデータベースを整備することで将来技術の公平な経済性評価を可能とする。
乾式再処理HLWデータベース整備
データベース整備
乾式再処理から発生するHLWについては、ゼオライトと金属廃棄物が暫定的に設定されている。妥当なものに更新する。乾式再処理が適用される金属燃料高速炉は近年酸化物燃料の比較対象として注目を集めているが、廃棄物の観点での比較は十分ではない。NMBによる発生量見積もりだけではなく、処分方法や処分後の安全性評価などを含めた研究テーマとなる。
SMR
データベース整備
多様なSMRが提案されているが、そのうちに主要なものに対して、将来予測が可能になるように、燃料型式および原子炉型式のデータベースを整備する。近年、SMRの開発が活発に行われているが、従来炉との比較やSMR炉間の比較はほとんど行われていない。また、SMRからの使用済み核燃料の見積もりや処理処分方法についても未解明である。これらをデータベース化し、明らかにする。
溶融塩炉
データベース整備
溶融塩炉についてもSMRと同様の状態にある。溶融塩炉は、液体燃料であり、燃焼と同時に再処理する点で特異であり、そのことの核燃料サイクルにおける利点を明らかにする。
日本詳細モデル
モデル整備
これまで、国内の軽水炉からの使用済み燃料はPWRとBWRでのみ区別してきたが、現実には各電力事業者、各サイト、あるいは、各発電炉毎に区分し、再処理や将来のプルサーマル使用を予測することができる。このようなモデルを整備し、公開することで、電力事業者ごとの特性や課題の明確化や、再処理計画の立案に役立つものと考えられる。更には、近未来の使用済み燃料貯蔵問題、個々のプルサーマル導入の効果なども明らかにできる。
日本の標準将来モデル
モデル整備
高速炉開発戦略ロードマップにより、将来の高速炉導入への道筋が示されてきた。ロードマップの議論に資するために、高速炉を導入する場合の標準的なシナリオを設定し、公開する。
世界モデル
モデル整備
NMBによる世界モデルの整備はこれまで行われていない。ウラン資源の可採年数の検討の他、プルトニウムや廃棄物の国際間の移動可能性など、広い視野での研究を可能とするために、世界モデルを整備し公開する。
再処理モデル組み込み
機能拡張
現在、NMBでは再処理工程モデルを有しておらず、単に入力された組成を元素ごとに固定した分配比で製品に分配している。しかし、現実には入力された元素組成が異なると分配比は異なる。また、再処理工程の段数や抽出材パラメータが分配比に与える影響を調べることができない。JAEAでは湿式再処理のためのPARCコードを所有しているが、これを簡略化したような計算モデルをNMBに組み込む。それにより、再処理工程の規模などの評価も可能となる。
核融合へのトリチウム供給
機能拡張
核融合ではLiブランケットによってトリチウムを増殖するが、立ち上げ時には多量のトリチウムを外部から供給する必要がある。供給源として重水冷却炉が最も有望である。現在NMBでは重水素をライブラリに含んでおらず、また、冷却水の放射化も取りあつかっていない。これらを改良し、トリチウム生成を評価可能とする。また、核融合炉への移行シナリオを取り扱うために、核融合モデルを組み込み、トリチウムバランスや、核融合からの中低レベル廃棄物のデータベースを組み込む。核融合炉のブランケットは優良な中性子場があり、トリウム増殖やMA核変換に用いる設計例が多くみられる。それらを核分裂炉と並行して解析できるようにする。
シナリオのロバスト性
機能拡張
原子力利用においては、事故や計画の遅延などにより、国全体の発電計画が大きく影響を受ける場合がある。発電プラントや再処理プラントの事故確率・遅延確率などを評価し、代表的な将来シナリオにおいてどの程度計画通りに発電可能かを計算する。これは、シナリオのロバスト性と考えることができる。例えば、高速増殖炉サイクルにおいて再処理工場で長期間の停止が発生してしまうと、多くの発電プラントで燃料不足に陥ることが考えられ、ロバスト性が低い可能性があるが、これに対し、2つ以上の方式の再処理工場を持つことでロバスト性が高めるといった研究につながる。